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採用戦略|歯科衛生士採用チャネル設計の決定版

歯科衛生士の採用チャネル設計――就業者149,579人・前回比4,396人増の統計から考える応募底上げのヒント

結論として、媒体費の高騰と求人倍率約23倍の超売り手市場では、媒体依存からリファラル・SNS・復職支援の3本柱へチャネルを再設計することが応募底上げの近道です。本記事では令和6年末の最新統計(就業149,579人・診療所集中率90.6%・潜在DH約4.9万人)を読み解き、チャネル別CPA試算と90日定着設計まで、中小歯科医院がすぐ着手できる手順を整理します。

  • 令和6年末の就業歯科衛生士は149,579人で3.0%増だが、診療所集中率90.6%・養成所就業者36.5%減と市場は二極化している
  • 潜在歯科衛生士は約4.9万人、不足数は約4.7万人、常勤0人の診療所が39.2%と中小医院の人材難は構造的
  • 新卒求人倍率は約23.3倍の超売り手市場で、媒体依存からリファラル・SNS・復職支援の3本柱へのチャネル再設計が有効
  • CPAは人材紹介80〜120万円に対しクリック型運用10〜20万円・SNS/リファラルは低コストで、ハイブリッド配分が現実解
  • 入職後90日のオンボーディング設計と教育標準化が定着の大半を決め、規模別に優先チャネルを変えることが重要

令和6年末統計が示す歯科衛生士の就業動向――就業者149,579人、前回比4,396人増

厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によると、令和6年末現在の就業歯科衛生士数は149,579人で、前回(令和4年)に比べ4,396人(3.0%)増加しています(厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」)。総数だけを見れば「増えている」状況ですが、就業場所別に増減の差がある点には注意が必要です。

同概況によると、就業場所別では「診療所」が90.6%(135,499人)と最も多くなっています。日本歯科衛生士会の整理によれば、前回比で「診療所」が増加した一方、「歯科衛生士学校又は養成所」での就業者は645人減少(前回比36.5%減)しています。ただし教育・指導側の就業者数の増減は、養成校数・入学定員・卒業者数・国家試験合格者数などの推移を併せて見ない限り、新卒供給の増減に直結すると断じることはできません。本記事では「総数は増えつつ、就業場所によって増減の差がある」という事実を出発点に、採用設計のヒントを整理します。なお詳細な統計表は上記の厚労省ページからダウンロードできます。

令和4年末と令和6年末の就業歯科衛生士数および診療所就業者数・養成所就業者数の比較棒グラフ
就業DHの増減(出典: 厚生労働省 令和6年衛生行政報告例 / 日本歯科衛生士会)

年齢構成については、日本歯科衛生士会の整理によれば、50代以上が就業者全体の28.4%を占める一方、25歳未満の就業者数は平成30年度以降ほぼ横ばいとされています。若年層が大きく伸びていないことは確かですが、補充停滞と断じるには20代後半など複数階級の推移も要確認です。採用戦略としては、新卒だけでなく幅広い年齢層へ目を向ける発想が一つの選択肢になります。

登録者数と就業者数の差から見える採用課題

厚労省の検討会資料(歯科衛生士の業務のあり方等に関する検討会)によると、令和4年の歯科衛生士免許登録者数は314,143人で、就業歯科衛生士数は145,183人、免許登録者に対する就業者の割合(就業割合)は46.2%とされています。ただし免許登録者数は累積的な登録に近く、死亡・高齢引退・他職種就業・就業意思のない人などを含み得るため、登録者数と就業者数の差をそのまま「復職可能な潜在歯科衛生士数」とみなすことはできません。復職可能層の規模については別途の調査・推計での裏取りが必要です。

歯科衛生士の不足感については、令和2年の歯科診療所の常勤換算従事者数の平均は5.1人、平均歯科衛生士数は2.0人とされ、小規模事業所が多いことが示されています。一方、歯科医師会会員を対象とした抽出調査では、回答医院が考える理想的な歯科衛生士数と実際の人数に乖離があると報告されていますが、これは特定団体の会員アンケートに基づく参考値であり、労働需要の公的推計や必要配置基準に基づく不足数とは性質が異なる点に留意が必要です。配置状況や不足感の有無は、常勤・非常勤の別や診療内容と分けて捉える必要があります。

こうした環境下では、「求人を出して待つ」受動的採用だけに頼りにくい局面もあり、自院から働きかける能動的なチャネル設計を検討する価値があります。面接段階での見極めと魅力訴求については歯科衛生士 採用面接 設計の実務ガイドも併せてご覧ください。

中小歯科医院が低コストで検討しやすい採用チャネル――リファラル・SNS・復職支援

媒体費が課題となるなか、中小医院が比較的初期コストを抑えて検討しやすい選択肢として「リファラル」「SNS」「復職支援」が挙げられます(以下は編集部による実務上の提案であり、効果は院の状況によって異なります)。

1. リファラル採用――既存スタッフの紹介を活かす

既存スタッフからの紹介は、職場の実態を共有したうえで応募につながりやすいとされる採用手法です(一般的な採用広報の考え方)。まずは「誰を紹介してほしいか」を言語化し、既存スタッフが声をかけやすい状態を作ることが起点になります。なお紹介奨励金(インセンティブ)を制度化する場合は、就業規則・賃金規程上の位置づけ、税務処理、反復継続的な紹介行為が職業紹介事業に当たらないかなどの留意点があるため、社労士など専門家への確認をおすすめします。

2. SNS採用――掲載コストを抑えて差別化

近年は採用広報の一手段としてSNSやLINE等の導線を組み合わせる例が見られます(一般的な採用広報の考え方)。日々の診療風景やスタッフの雰囲気を継続発信することは、応募前の「働くイメージ」を補完する一助になり得ます。歯科医院では、診療時間・チェア台数・担当制の有無・予防処置の比率など、職場の働き方が伝わる情報を併せて発信すると、求職者の判断材料になりやすいと考えられます。

3. 復職支援――応募障壁を下げる入口を整える

厚労省の検討会資料では、就業歯科衛生士のほとんどが女性とされ、出産・育児によるキャリア中断が離職の一因として挙げられています。ブランク不安を解消する研修・時短勤務・段階復帰の仕組みを用意することは、応募障壁を下げる施策になり得ます。なお復職支援は各自治体・歯科医師会・厚労省も取り組んでおり、厚労省は歯科衛生士に対する復職支援・離職防止等推進事業を実施しています。地域によって求人・復職支援の状況は異なるため、自院の地域事情を踏まえた設計が必要です。

求職者応募から見学・面接・内定承諾・90日定着に至る採用ファネルの各段階を示す漏斗図
採用3チャネルのファネル(出典: ARXIA 編集部)

チャネル別の採用単価と予算配分の考え方

採用チャネルは「採用単価(CPA)」で横並びに比較すると判断しやすくなります(編集部の提案)。人材紹介は理論年収の一定割合が相場とされ、求人媒体掲載型や成功報酬型とは費用構造が異なります。具体的な相場は媒体・地域・時期によって変動するため、自院で実額を把握することが前提です。なお、リファラルやSNSは媒体費こそ低くても、紹介奨励金・運用工数・採用担当者の人件費を含めると単純に低CPAとは限りません。CPAを比較する際は、これらの工数・人件費を含めた前提を明示することをおすすめします。

予算配分の一案として、即戦力が急ぎ必要なポジションだけ紹介を限定的に使い、恒常的な母集団形成はSNS・リファラル・復職支援に振り向ける「ハイブリッド型」が考えられます。応募前に採用サイトを確認する求職者もいるため、採用専用サイトのスマホ最適化はどのチャネルでも有効と考えられます。集患のWeb設計と共通する考え方は2026年版 歯科医院×LLMO集患戦略入門も参考になります。

採用は「周知・面接・入社後」の3段階で一貫したメッセージ設計を行うほど、求職者に伝わる印象がぶれにくくなります。求人原稿の工夫と理念共有・入社後の環境整備を統合して考えることが大切です。

入職後の立ち上がり設計とオンボーディングの実務ステップ

採用は内定で終わりではなく、入職後の立ち上がり設計は早期定着に影響し得ます(編集部の提案)。歯科医院では、診療時間内での教育時間の確保、担当制・予防処置の進め方、院内感染対策研修などを初期に整理しておくと、新人が業務に入りやすくなると考えられます。

入職前準備から1週目・30日・90日までのオンボーディング手順を時系列で示すフロー図
90日オンボーディング(出典: ARXIA 編集部)
  1. 入職前準備:初日の段取り・メンター指名・必要備品を事前に整える。
  2. 1週目:医院理念と全体像を共有し、孤立させない歓迎設計を行う。
  3. 30日:定例の面談で不安を吸い上げ、教育内容を標準化して属人化を防ぐ。
  4. 90日:評価面談で成長を可視化し、定着の手応えを言語化する。

教育を属人化させないには、チェックリスト・動画マニュアル・到達基準の3点セットが有効と考えられます。指導者によって教え方が変わる状態を放置すると、新人の不安や早期離職につながりやすいと指摘されています。

2026年度採用ロードマップの考え方(診療所規模別)

最後に、規模別の優先順位を整理します(編集部の提案)。歯科診療所は小規模事業所が多いとされることを踏まえると、規模が小さい医院ほど「1人の質と定着」に資源を集中するという考え方は一つの仮説として成り立ちます。ただし常勤の有無は非常勤活用・診療内容・経営方針・地域事情など複数要因によるため、自院の常勤・非常勤の配置や患者数・予防診療比率を踏まえて判断する必要があります。

小規模・中規模・大規模の診療所別に主軸チャネル・補助チャネル・年間予算配分を整理した比較表
規模別チャネル配分(出典: ARXIA 編集部)

ロードマップは「①現状のチャネル別応募数・面接率・承諾率・定着率を測る → ②CPAで比較し配分を見直す → ③低コストチャネルを仕込み、紹介を限定活用 → ④入職後の定着設計を回す」の順で四半期ごとに更新する方法が考えられます。患者動線と同様、採用も漏斗のどこで離脱しているかを数値で把握することが改善の出発点です。指標設計の考え方は患者動線KPI設計の実践フレームワークの発想が応用できます。

なお、採用と並行して収益の土台づくりも重要です。令和8年度診療報酬改定については、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」に告示・通知が掲載される予定です。賃上げに係るベースアップ評価料を活用する場合は、対象職種・算定要件・届出・賃金改善計画への充当ルールなどを、上記ページの歯科点数表・施設基準・通知で必ず確認してください。収益原資として安易に見込むのではなく、要件適合を前提に検討する必要があります。

本記事は公的統計の解説と編集部による実務提案を区別して記載しています(統計部分は出典リンク先、提案部分は「編集部の提案」と明記)。採用チャネルの再設計や定着の仕組みづくりについて具体的に検討したい場合は、無料の30分相談もご活用ください。監修:石井 貴久(株式会社ARXIA 代表)。

よくある質問

総数は令和6年末で149,579人と増えていますが、就業者の90.6%が診療所に集中し、診療所間の獲得競争が激化しているためです。さらに新卒求人倍率は約23.3倍の超売り手市場で、常勤0人の診療所も39.2%に上り、構造的に人材が行き渡っていません。
掲載コストがかからず差別化しやすいSNS採用と、ミスマッチが起きにくいリファラル採用から始めるのが現実的です。加えて約4.9万人いる潜在歯科衛生士向けの復職支援を整えると、競合の少ない市場を開拓できます。即戦力が急ぎ必要な場合のみ高CPAの人材紹介を限定的に使う配分が有効です。
人材紹介は理論年収の20〜30%(年収400万円で約80〜120万円)、紹介型70〜100万円、求人媒体掲載は2週間で16〜45万円、クリック型運用広告は10〜20万円が目安です。SNSやリファラルは奨励金・運用工数が中心でCPAを大きく圧縮できます(いずれも院や条件により変動します)。
入職後90日のオンボーディング設計が定着の大半を決めます。入職前準備・1週目の歓迎・30日の1on1・90日の評価面談という流れを整え、チェックリストや動画マニュアル、到達基準で教育を標準化して属人化を防ぐことが効果的です。

この記事の詳細は Bench Club 限定レポートで

令和8年度(2026年度)歯科診療報酬改定の全体像を解説した資料。施行日は6月1日で本体改定率は+3.09%。初再診料引き上げ・歯科外来物価対応料・ベースアップ評価料など収入の土台が増える項目と、医科歯科連携・口腔機能管理・デジタル系の新設項目が特徴。一方で歯科疾患管理料や少数歯SPT、大人数訪問は減点となる。最重要タスクは再届出が必要な施設基準の漏れなき提出であり、届出状況によって医院ごとの増収幅が大きく異なる構造となっている。

参考資料

  1. 厚生労働省 令和6年衛生行政報告例〔就業医療関係者〕の概況
  2. 日本歯科衛生士会 就業者数(厚生労働省調べ)
  3. 厚生労働省 第3回歯科衛生士の業務のあり方等に関する検討会資料(令和7年7月30日)
  4. 日本歯科衛生士会 歯科衛生士の勤務実態調査 報告書(令和7年3月)
  5. WHITE CROSS 令和6年末就業歯科衛生士・歯科技工士結果公表
  6. クオキャリアpocket 新卒求人倍率(全国歯科衛生士教育協議会)
  7. 歯科採用チャンネル 歯科衛生士の採用単価はいくら?
  8. 歯科経営のミカタ 歯科衛生士求人サイト徹底比較
  9. なるほど!デンタル人事 リファラル採用の手順とメリット
  10. 歯科衛生士 採用面接 設計の実務ガイド
  11. 2026年版 歯科医院×LLMO集患戦略入門
  12. 歯科医院の患者動線KPI設計
  13. 歯科医院の採用成功率を劇的に向上させる最新戦略! — ARXIA 編集部
  14. 令和8年度歯科診療報酬改定 ポイント解説
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