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コンプライアンス|医療広告ガイドライン2026年4月改正対応

医療広告等ガイドライン2026年4月改正の実務対応ガイド――オンライン診療受診施設の新ルールとSNS・動画の事例拡充を院内チェック体制へ

2026年4月1日、医療広告ガイドラインが改正され名称も「医療広告等ガイドライン」へ変わりました。最大の変更点はオンライン診療受診施設の広告規制新設とSNS・動画広告の規制強化です。本記事は院長が押さえるべき3つの変更点、限定解除要件、投稿前チェックの体制構築までを実務目線で整理します。

  • 2026年4月1日施行の改正で名称が「医療広告等ガイドライン」へ変わり、事例解説書は第6版に更新された
  • オンライン診療受診施設の広告規制(医療法6条の7の2)が新設され、原則禁止だが明示要件など解除要件を満たせば広告可能
  • SNS・動画も規制対象で、プロフィール・投稿・返信まで確認が必要。スタッフ個人アカウントも院の関与次第で対象になる
  • ビフォーアフター写真は症例ごとに治療内容・費用・期間回数・リスクを同一画面で併記する限定解除4要件をすべて満たす必要がある
  • 違反時は行政指導・是正命令、悪質な場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。担当者と院長の二重確認体制が有効

2026年4月改正の要点:オンライン診療受診施設とSNS・動画事例

2026年4月改正で歯科医院が確認しておきたい変更点は、主に「オンライン診療受診施設」に関する広告規制の新設と、SNS・動画に関する事例の明確化・拡充です。あわせて、ガイドラインの名称も従来の「医療広告ガイドライン」から「医療広告等ガイドライン」へと改められました(これは名称・体系の整理であり、実務対応の中心は前二者です)。厚生労働省は令和8年(2026年)3月30日付けで指針を最終改正し(医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)|厚生労働省)、オンライン診療に関する医療法上の規定は令和8年4月1日から施行されました(厚生労働省)

この改正は、2025年の医療法改正でオンライン診療・オンライン診療受診施設が医療法上に定義づけられ、2026年4月1日に施行されたことに伴うものです(令和8年4月1日からオンライン診療に関する医療法上の各種規定が施行されます|厚生労働省)。同時に事例解説書は、自由診療の限定解除要件を満たしていない事例やSNS・動画における事例が拡充され「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」に改められました(令和8年3月30日・厚生労働省)

なお、法律の確定的な解釈は個別事情で変わり得ます。本記事は一般情報であり、広告規制の法的判断は弁護士または所管する自治体窓口に、就業規則やSNS運用規程の整備は社会保険労務士に、というように相談先を分けてご確認ください。

2026年4月医療広告ガイドライン改正の変更ポイントを整理した比較表
2026年改正の主な変更点(厚生労働省資料を基に編集部作成)

新設『オンライン診療受診施設』に関する広告規制

オンライン診療受診施設とは、その設置者が業として、オンライン診療を行う医師・歯科医師の勤務する病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院に対して、患者がオンライン診療を受ける場所として提供する施設をいいます(医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)|厚生労働省)。駅前やオフィスビル内のブース、へき地の郵便局・公民館等での設置が想定され、施設自体は主体的に医療を提供しない点が特徴です。

ここで注意したいのは、この規制がウェブサイト等の「限定解除」とは別建ての仕組みだという点です。医療機関の広告(医療法6条の5)は原則として広告可能な事項が限定され、ウェブサイト等で施行規則の要件を満たしたときに限って限定が解除されます。一方、改正で新設された医療法6条の7の2は、何人もオンライン診療受診施設に関する広告を、厚生労働省令で定める場合を除き原則禁止としています(医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)|厚生労働省)。両者は誘引性・特定性を要件とする点で共通しますが、規制の建付けが異なるため、混同しないよう整理が必要です。

設置者の届出義務と「医療を提供しない旨」の誤認防止

受診施設の設置者には、設置後10日以内に所在地の都道府県知事等へ届け出る義務が課されています(新法第8条第2項。オンライン診療の適切な実施に関する指針の一部改正について(令和8年3月27日医政発0327第5号)|厚生労働省)。届出事項は診療所の開設届出(法第8条)を参考に省令で定められ、設置者の住所・氏名、名称、設置場所等が対象です。また、施設が広告を行う場合には、施設自身が主体的に医療を提供するものではない点について患者に誤認を与えないよう明示することが求められます(厚生労働省)。ただし「医療機関ではない旨を明示すれば自由に広告できる」わけではなく、広告できるのは省令で定める範囲に限られ、施設が単独で診療内容を強調して表示することはできません。歯科医院として受診施設に関与する可能性がある場合は、広告可能事項の範囲・明示要件・届出の扱いを弁護士・所管自治体と確認しておくと安全です。

SNS・動画に関する事例の明確化――投稿前チェックリスト

医療広告規制は、医療機関だけでなく広告代理店・マスコミ・一般人等を含め「何人も」を対象とし、チラシ・看板・雑誌・放送・Eメール等に加え、ウェブサイトも規制対象です。SNSや動画が対象になり得ること自体は従来からの考え方ですが、2026年3月の第6版でSNS・動画における事例が拡充され(厚生労働省)、何が問題になるかがより具体的に示されました。広告該当性は「誘引性」と「特定性」の観点から判断されます。

広告に該当する媒体での投稿前に、以下を確認しましょう。

  • 他院より優れる旨の比較優良広告になっていないか
  • 「必ず治る」等の誇大広告・治療効果の保証表現がないか
  • 患者等の主観に基づく治療内容・効果の体験談を使っていないか
  • ビフォーアフター写真を必要事項の併記なく掲載していないか
  • プロフィール欄・固定投稿・返信コメントに違反表現が残っていないか

スタッフや患者の純粋に個人的な感想の投稿と、医療機関が関与する投稿とでは扱いが異なります。スタッフ個人のSNSアカウントでの発信であっても、院側が広告料の負担や掲載依頼をしていたり、受診誘引の意図が認められたりする場合は広告に該当し得ます。これは医療広告規制上の論点です。加えて、労務管理の観点からは、スタッフの個人アカウント運用について院内ルールを文書化しておくと運用が安定します(就業規則やSNSポリシーの整備は社会保険労務士に相談するのが適切です)。

ホームページ・院内掲示物の点検フロー――実務チェック表付き

ビフォーアフター写真は、詳細な説明のないものや患者を誤認させるおそれのあるものが禁止される一方、限定解除の要件を満たし必要情報を併記すれば掲載できます。限定解除は、医療法施行規則第1条の9の2に定める次の4要件をすべて満たした場合に認められます(医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)|厚生労働省医療法施行規則|e-Gov法令検索)。

  1. 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等であること
  2. 問い合わせ先を明示すること
  3. 自由診療の治療内容・費用等の情報を提供すること
  4. 自由診療の主なリスク・副作用等の情報を提供すること

ビフォーアフター写真を掲載する場合は、限定解除を満たしたうえで、写真ごとに治療内容・標準的な費用・治療期間や回数・主なリスクや副作用を併記することが望ましいとされています。利点だけを強調し、リスクを患者が容易に確認できない表示方法(極小文字など、明瞭性・分かりやすさを欠く構成)に追いやることは問題となり得ます。

掲示物については切り分けが重要です。医療機関やオンライン診療受診施設の内部の掲示・内部で配布するパンフレット等は、受け手が通常すでに受診している患者等に限定されるため誘引性を満たさず、情報提供・広報と解されます(厚生労働省・医療広告等ガイドライン)。もっとも、院外に配布される資料や誘引性・特定性が認められる媒体は広告に該当し得るため、実際には媒体・配布対象ごとに個別判断が必要です。また、限定解除は「患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等」を対象とするため、屋外看板やチラシは限定解除の対象になりません。

ホームページと院内掲示物の広告規制上の扱いを比較した表
媒体別 限定解除の可否(厚生労働省資料を基に編集部作成)

院内責任者体制の構築――院長が導入したい3つの仕組み(推奨策)

以下は法令上の義務ではなく、リスク管理上の推奨策です。広告表現の点検を担当者任せにせず、体制として設計しておくと運用が安定します。

  • 広告責任者の設置:ウェブ・SNS・掲示物の最終確認者を1名決め、院長との二重チェックを標準化する
  • 投稿前チェックリストの運用:誘引性・特定性の判断と禁止表現の確認を投稿前に必ず通す
  • SNS利用ルールの文書化:スタッフ個人アカウントでの院関連投稿の可否・依頼禁止を就業ルールに落とし込む

体制づくりは労務・広報・法務が交差する領域です。就業規則やSNS運用規程への反映は社会保険労務士・弁護士と連携すると安全です。法的リスク全般の考え方はクレーム・SNS誹謗中傷・労務紛争を院長が自力で評価する実務ガイドも参考になります。

SNS投稿から公開までの院内チェックフロー
投稿前チェックフロー(ARXIA 編集部作成)

よくある誤り事例と是正方法――削除・修正が必要な広告パターン

是正が必要になりやすい典型パターンは、比較優良広告(「地域No.1」等)、治療効果の保証、患者等の主観に基づく治療体験談、そしてビフォーアフター写真の必要事項欠落です。いずれも第6版の事例で確認できます(医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)|厚生労働省)。

罰則は違反類型によって仕組みが異なります。虚偽広告(法6条の5第1項違反)は、中止命令等の不遵守を待たずに罰則の対象となり得る「直接罰」で、6月以下の懲役または30万円以下の罰金(法87条)が定められています。一方、誇大広告等については、まず中止・是正の命令が行われ、その命令違反に対して罰則が課される「間接罰」の建付けです。また、報告命令違反や立入検査の拒否等の場合は20万円以下の罰金(法89条)が定められています(医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会資料|厚生労働省)。是正は「①違反箇所の洗い出し→②削除または限定解除要件の充足→③責任者体制での再発防止」の順で進めるのが実務的です。

なお、2024年8月には厚生労働省の分科会で、覚知からの標準的な対応期限を含む指導・措置の手順書のひな型の考え方が整理されています(医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会資料|厚生労働省)。これは都道府県が参考にするためのひな型であり、国が指導を指示・命令するものではありません。

よくある質問

はい。2026年4月施行の改正で医療法6条の7の2が新設され、オンライン診療受診施設に関する広告は原則禁止となりました。施設は医療を提供せず場所を提供する点が特徴で、医療を提供するのはあくまで医療機関であることを明示するなどの解除要件を満たさなければ広告できません。関与する場合は届出義務もあるため、弁護士等への確認をおすすめします。
個人アカウントの発信であっても、院側が内容に関与したり投稿を依頼し、受診を誘引する意図があると判断される場合は医療広告規制の対象になり得ます。プロフィール・投稿・返信まで確認対象となるため、院内でSNS利用ルールを文書化し、比較優良広告や治療効果の保証、体験談を避けることが必要です。
限定解除の4要件(自ら求めて入手する情報の表示、問い合わせ先の明示、治療内容・費用の提供、主なリスク・副作用の提供)をすべて満たす必要があります。さらに複数症例を一つの説明文でまとめるのは違反となるため、症例ごとに治療内容・費用・治療期間や回数・主なリスクを同一画面内で十分な文字サイズで個別に併記してください。
まず行政指導や広告の中止・是正命令が行われ、命令に従わない悪質な場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。2024年8月には指導・措置の実施手順書のひな型が整備され監視体制が強化されているため、担当者と院長の二重確認による事前チェック体制の構築が重要です。

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参考資料

  1. 医療法における病院等の広告規制について|厚生労働省
  2. 医療広告等ガイドライン 目次PDF|厚生労働省
  3. オンライン診療に関する広告等について 厚労省分科会資料
  4. オンライン診療受診施設に関する広告規制とは|ネクスパート法律事務所
  5. 改正医療法によるオンライン診療規制に伴う医療広告規制の変容|のぞみ総合法律事務所
  6. 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)解説|labcoat.jp
  7. 医療広告等ガイドラインに関するQ&A全解説|labcoat.jp
  8. ビフォーアフター写真を掲載する3つのルール|labcoat.jp
  9. ビフォーアフター写真《医療広告ガイドライン10のポイント》|クリニック未来ラボ
  10. 医療広告ガイドラインのチェックリスト|信頼マーケティング
  11. 歯科医院の法的リスク管理2026――クレーム・SNS誹謗中傷・労務紛争を院長が自力で評価する実務ガイド
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